埼臨技会誌 Vol
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一 般教 育【背景】繊毛虫Colpoda sp.は土壌繊毛虫類であり自然界に広く生息している原虫である.形態学的特徴は病原性をもつ大腸バランチジウムと類似しており鑑別が必要である.今回我々は自然尿の尿沈渣中にColpoda sp.を認めた症例を経験したので報告する.【症例】患者:79歳男性.現病歴:2013年4月より前立腺癌に対する化学療法及びステロイド療法を継続中.【検査所見及び経過】5/29:尿沈渣中に細菌(3+),白血球より大きな不明原虫を118/WF認めた.形態学的特徴より大腸バランチジウムも考慮し臨床側へ便検査の追加及び尿検査の再検査依頼をした.5/30:便直接塗沫法,MGL集卵法共に(-).6/12:尿沈渣中に細菌(3+),不明原虫0/WF.6/26:尿沈渣中に細菌(3+),不明原虫309/WF(シスト有),便直接塗沫法,MGL集卵法共に(-),便に生理食塩水を加え3日間鏡検を行ったが全て(-)であった.その間下痢症状や末梢血液中の好酸球数の上昇は認めなかった.【形態学的特徴】洋梨・腎臓形を呈し細胞口を有しており細胞表面は繊毛に覆われ活発に遊走していた.虫体の大きさ【はじめに】当センターは20診療科628床を有する大学病院であり2016年4月から3次救急に指定され輸血の依頼数は増加傾向にある。輸血業務は臨床検査技師が24時間体制で対応しているが、日当直は月に約2回のペースで行うため、専任でない技師にとって不安な検査のひとつになっている。今回は新人職員が日当直に入る前に輸血業務の研修をどのように行っているか報告する。【業務体制】日当直の勤務時間は、日直帯8:30~17:15、当直帯16:00~9:00である。日当直勤務には臨床検査技師各2名体制で行っている。【業務内容】①血液製剤の管理(発注・入庫・割付・持出・返却処理)②検査業務(血液型検査、交差適合試験、小児直接クームス試験)③その他:電子カルテでの確認方法、報告書発行、手術室・外来用ラベルの発行、FFP解凍処理、赤血球製剤照射、小児分割製剤の対応等。【研修内容】輸血検査室新規採用者研修プログラム実施表に従って各3時間行う。1日目:輸血検査システムの仕組みの説明と実践。2日目:用手法検査(血液型検査、交差99尿中に繊毛虫Colpoda sp.を認めた1症例日当直における輸血業務の新人臨床検査技師研修の取り組みは個体によりばらつきがあるが白血球より大きい程度であった.また細菌塊を貪食する様子が確認でき,数時間後にはシストを形成した.さらに翌日には回転運動及び4分裂像を認め,その後シストから脱出する様子が観察された.【考察及び結語】本症例は大腸バランチジウムを鑑別に挙げていたが,大腸バランチジウムのシストは内容物が単一であることに対し,今回翌日に観察できたシストは4分裂増殖像を認めたためColpoda sp.と考えられた.また本症例は個体数が多く,培養を行わずに観察することができた.数時間でシストが確認できた要因は外部環境の悪化が考えられる.3回の尿検査中2回検出されたことや化学療法,ステロイド療法を行っており易感染状態であることから人体寄生も考慮すべきであるが,外部からの混入も否定できない.これらを踏まえ,今後も採尿背景の確認や臨床側との連携を積極的に行いながら経過観察しなければならないと考える.また不明な原虫を認めた場合,長時間の観察や翌日の観察も有用と考えられる.適合試験、小児直接クームス試験)の説明と実践。3日目:検査機器(AUTO VUE)の扱い方の説明、検査の実践。その他:輸血検査マニュアルの熟読、緊急時の検査と持出処理、システムダウン時の対応等について理解する。また、必要に応じて各自研修を受ける。【効果】①輸血検査システムと業務について理解できた。②AUTO VUEで血液型判定保留になった時・交差適合試験の判定が不明瞭の時・小児直接クームスの検査を用手法でできるようになった。③緊急時の輸血の手順や処理が理解できた。④日当直時のトラブル等で輸血担当技師に連絡をする回数が減った。【まとめ】新入職員研修を計画的に行うようになり、日当直帯における輸血業務が円滑に行えるようになった。ただし、日当直業務は月約2回のペースで行う為、長期間輸血業務を行わない検査技師がいる。現在は各自の判断で輸血業務の確認を行っているが、継続的な研修ができる教育システムの構築を行う必要がある。連絡先 048(773)1111 内線 2413連絡先:048-647-2111(内線2653)◎関根 和晃1)、八木 亜季子1)、大岸 雪菜1)、森上 洋子1)、勝田 知恵子1)、渡部 三保1)、吉成 一恵1)、菊池 裕子1)◎関根 和晃1)、八木 亜季子1)、大岸 雪菜1)、森上 洋子1)、勝田 知恵子1)、渡部 三保1)、吉成 一恵1)、菊池 裕子1)医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院1)医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院1)◎石井 香帆1)、村上 綾1)、中山 愛美1)、増子 由華1)、金井 邦之1)、武関 雄二1)、藤野 真治1)◎石井 香帆1)、村上 綾1)、中山 愛美1)、増子 由華1)、金井 邦之1)、武関 雄二1)、藤野 真治1)自治医科大学附属さいたま医療センター1)自治医科大学附属さいたま医療センター1)EntryNo. 70EntryNo. 37日当直における輸血業務の新人臨床検査技師研修の取り組み尿中に繊毛虫Colpoda sp.を認めた1症例般-14(第7会場 13:15~13:51)教-1(第8会場 9:50~10:26)

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