埼臨技会誌 Vol
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感染予防・管理における臨床検査科での取り組み感染防止対策カンファレンスの6年の振り返りと今後の展望102【目的】当院は,回復期,療養,認知病棟を有する病院であり,細菌検出時には主治医から提出された感染発生報告書を,各病棟やリハビリ科に配布している.しかしこの方法では情報共有に時間を要し,また職員が感染者や保菌者の把握ができておらず,感染拡大が起こりうる状況であった.そこで,各病棟の感染管理マップの作成や,院内研修会で手指培地を使用した培養検査により,汚染の有無を視覚的に訴える事で,職員の感染予防・管理における意識向上にむけた取り組みを行ったので報告する.【方法】感染管理マップは2017年4月より開始.患者の細菌感染状況を菌種別に色分けし①メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA):ピンク②Pseudomonas aeruginosa:緑③基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌(ESBL):黄色④Serratia marcescens:青,さらにClostridium difficile(CD)等が検出された場合は記載し,各病棟,リハビリ科に配布した.手指培養検査においては,業務中に多職種10名の検査を行い2018年3月の研修会で報告し,アンケート調査は3ヶ月後に実施した.【はじめに】2012年の診療報酬改定により、感染対策防止加算が新設され、当院は加算1を算定する。申請要件には加算2の医療機関との年4回以上のカンファレンスの受け入れが含まれており、2018年7月までに合計26回実施した。今回、加算2のカンファレンスについて6年間の振り返りと今後の展望について考察する。【感染防止対策カンファレンス】 連携医療機関は、2012年より医療法人尚寿会大生病院、医療法人社団清心会至聖病院であったが、2018年2月より医療法人康正会康正会病院、6月より1施設増えて4施設となった。計26回のカンファレンスは、当院で22回(講義形式19回、実演1回、施設ラウンド2回)、連携先では4回で施設内ラウンドを行った。中でも施設ラウンドは有意義と感じる。【施設ラウンドの実際と今後の展望】 他職種・他施設のメンバーがチームに分かれて院内巡回する。2013年のラウンドは、手指衛生、廃棄物の処理、作【結果】手指培養判定結果は,PC操作後や内服準備中の職員2名よりMRSAが検出された.またアンケート調査では,手指衛生の意識変化を問う設問に対し87%の職員が意識するようになった,あまり変わらないが8%であった.さらに感染管理マップの認知度を問う設問に対し,必要時に確認している38%,知っているが確認したことがない24%,知らないが38%であった.また感想として,保菌患者が色分けされて把握しやすい,業務に活用しているなどがあったが,ベッド移動がある為,更新回数を増やしてほしいとの意見もあった.【考察】アンケート調査より手指培養の汚染の有無を視覚化したことで,手指衛生に対する意識の向上に繋がった. さらに感染管理マップは,各病棟のベースラインを把握する意味で有用であり,今後は如何に活用してもらうかが課題のため,更新回数を増やし継続して取り組んでいく必要がある.     業環境など大項目8個、小項目27個のチェック項目を元にしたラウンドとフィードバックを行った。2018年2月の当院のラウンドでは、職種別に分かれ新病院の施設見学を兼ねたラウンドを行い、フィードバックを頂いた。その際、内視鏡器具の洗浄への質問があり、セミクリティカル機材としての洗浄という、感染防止対策に重要な項が疎かになっていることに気付いたため、洗浄に関する情報共有のために、同年7月の他施設ラウンドに内視鏡技士と同行した。また、ラウンド時は検査業務に関する質問・疑問もあり、感染以外の検査連携が図れることが示唆された。【まとめ】施設ラウンドは各施設に即した工夫や取り組みなど、多くを学ぶことがあり、今回は内視鏡洗浄への感染防止対策への関心の高さを知ることが出来た。また、検査業務への連携にもつなげられるように努力したい。施設ラウンドは受け入れ側の了承がなければ成り立たない。快く受け入れて頂いている連携医療機関の方々に深謝申し上げます。連絡先:04-2653-6611 内線:1928連絡先04(2944)2390       ◎山下 真寛1)、高山 好弘2)◎山下 真寛1)、高山 好弘2)戸田中央医科グループ 東所沢病院1)、戸田中央医科グループTMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ 東所沢病院1)、戸田中央医科グループ TMG本部 臨床検査部2)◎安藤 恭代1)、奥山 康博1)、中村 仁美2)、山本 匡俊3)、辻井 恵美1)◎安藤 恭代1)、奥山 康博1)、中村 仁美2)、山本 匡俊3)、辻井 恵美1)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)、医療法人尚寿会 大生病院2)、康正会総合クリニック3)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)、医療法人尚寿会 大生病院2)、康正会総合クリニック3)EntryNo. 12EntryNo. 24感染予防・管理における臨床検査科での取り組み感染防止対策カンファレンスの6年の振り返りと今後の展望チ-2(第8会場 10:27~11:12)チ-3(第8会場 10:27~11:12)

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