埼臨技会誌 Vol
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率.05とした場合,有意の差はなしと報告されるが,検定力は“低い”.また,d値は“効果大”を示している.2.標本数:20.差の平均;0.06.SD:0.0114.t値;2.349(p=.030).効果量d;0.53.信頼区間;[-0.007, 0.113].検定力;.44.を得た.危険率.05とした場合個人間の値に差があると報告されるが,検定力は“低い”,d値は0.53で“効果中”を示している. 【考察】t検定結果の判断は危険率(.05または .01)のみで判断すると,結果判定は上述の通りとなるが,同時に効1042.56.SD:F, 0.136;M, -当院におけるISO15189の認定取得に向けての取り組みとその評価連絡先:048-873-4111◎谷 奈津美1)、佐藤 則子1)、白石 智子1)、宇田川 智子1)、手塚 康晴1)◎谷 奈津美1)、佐藤 則子1)、白石 智子1)、宇田川 智子1)、手塚 康晴1)さいたま市立病院1)さいたま市立病院1)◎髙橋 和男1)、奈良部 安2)◎髙橋 和男1)、奈良部 安2)株式会社 ビー・エム・エル BML総合研究所1)、同2)株式会社 ビー・エム・エル BML 総合研究所1)、同2)【はじめに】当院は2018年3月に本邦にて第152番目のISO15189の認定を取得した.認定を受けた範囲は生理検査,病理検査を除く,生化学・免疫検査,血液検査,一般検査,輸血検査,細菌検査の基幹項目・非基幹項目である.当院での1年半にわたる認定取得への取り組みや,その効果などを報告する.【認定取得への取り組み】検査室が十分機能する体制をハード面から整えるため,受審に必要とされる備品の整備や検査室の環境整備などにとりかかった.例として,洗浄室や更衣室の感染エリアと非感染エリアが明確ではなかったため,改装工事を行った.サポートメーカーによるコンサルティングを受け,教育講習と内部監査員養成セミナーを受講した.認定対象職員全員でISOの求める要求事項に対する理解と知識を深め,内部監査員の資格を取得し,内部監査を実施した.5ヶ月の期間をかけ,各ワーキンググループが管理手順書を作成した.さらに6ヶ月の期間をかけ,技術管理主体が中心となり各検査室の検査項目と業務と機器の標準作業手順書(SOP)を作成した.【目的】分析装置・試薬の評価や臨床検査データの解析には帰無仮説検定が多く用いられている.しかし,危険率(p ≦.05)のみをもって,有意差“あり”,“なし”と報告しており,効果量や検定(検出)力を報告していない例がほとんどである.また,有意差なしとした結果を効果なし,影響なしなどと解釈している場合も散見される.これらのことから,Student’s t検定(以下t検定)において効果量(Cohen’s d),検定力,信頼区間(95%)等が結果の解釈に重要であることを確認したので報告する.【方法】1.FT3(pg/mL)値の個人間(2名(F, M)毎週1回,3か月間,12回測定)の差.2.HbA1c(%)値の測定方法間(患者20名,2方法で測定)差においてStudent’s t 検定(対応のない,対応のある)による効果量,検定力,および信頼区間(95 %)などの指標による評価を行った.【統計処理の結果と評価】1.標本数:F, M;12.平均:F, 2.44;M, 0.146.t値;2.066(p=.0508).検定力:.51.効果量d:0.84.信頼区間;[-0.0005, 0.238]を得た.対応のないt値により危険【まとめ】ISO15189では,検査結果に影響を与えるあらゆるものを文書化し,記録をとり,維持管理評価することが要求されている.つまり,検査項目のSOP作成だけではなく,精度管理や使用している機器・試薬・消耗品の管理,室温・冷蔵庫・冷凍庫の温度管理,教育研修・力量評価などについても文書化し,実施した記録を残していなければならない.認定取得までに大変な労力を要したが,検査科全員で共通した目標に向かって努力したことは,これからの組織運営にとっても大変有意義なものとなった.認定取得そのものが目的ではなく,取り組みを通していかに業務改善を進めていくかが大切である.そして第三者機関における評価を受けることで,臨床検査の標準化・品質の保証にも繋がる.今後も今まで以上に疾病の診断・治療・予防に役立つ信頼性のある検査データを,迅速に提供することができる検査室であり続けられるよう継続・改善していきたい.果量,検定力の値を算出すると,効果量は“大,中”,検定力はいずれも“低い”結果となっている.これらを勘案すると検討に際して,標本数が少ないことが考えられる.今回の例では,1の場合に標本数を12から23にすることにより検定力;.8,危険率.007となる.また,2の場合は効果量が0.53で,得られた効果は中程度であり,検定力を.8 程度とするためには標本数が45必要である.【結語】t検定の結果判定は効果量,検定力や信頼区間等の指標を含めることが重要である. 連絡先; 049-232-3131EntryNo. 17EntryNo. 23当院におけるISO15189の認定取得に向けての取り組みとその評価Student's t 検定における効果量,検定力,Student's t 検定における効果量,検定力,および信頼区間算出の重要性および信頼区間算出の重要性管-1(第8会場 13:15~13:51)管-2(第8会場 13:15~13:51)

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