埼臨技会誌 Vol
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管理運営【はじめに】当検査科は採血を年間延べ6万件、生理機能検査室では延べ3万件の検査を行っている。医療安全活動の一環として緊急時対応マニュアルの作成、BLS院内研修を行っているが、2016年に採血室で意識消失を伴う患者急変発生時、マニュアルに沿った対応を臨床検査技師は迅速に行うことが難しかった。これを契機に患者急変時訓練を開始した。訓練の内容及び成果を報告する。【訓練対象者】採血室は専任看護師1名と全ての臨床検査技師35名、生理機能検査室は生理部門担当臨床検査技師8名。【訓練方法】患者の急変が想定される採血室と生理機能検査室でそれぞれ訓練を実施した。訓練内容としてマニュアルに沿って① 急変患者発見後、緊急コール担当やAED準備担当、記録担当などの役割分担をする。② 患者急変シートに患者状態、処置内容を記録しながら救命処置を開始する。③ 看護師、医師への状況説明等の引継ぎまでを1セットとした。【はじめに】当院では毎年、医療の「質保証」「質向上」を目的に、病院をよくするプロジェクト活動を行っており、臨床検査科も活動に参加する事で臨床検査の質向上を目指している。今回、臨床検査科の取り組みとして、検査との関わりが多い看護部との連携を強化する事で、効率的に検査の質向上が達成できると考え、検査に関わる項目について打ち合わせを行った。その際、検査容器に関する問題点が挙がり、検査容器の有効期限や種類・採取量などについて様々な事案が日常業務でも散見されている事が分かった。そこで今回、病棟に保管されている採血・培養検査容器の使用期限や状態調査を実施したので報告する。【方法】期間:2017年9月~2018年6月までの10ヶ月間。方法:月に一度、各病棟へ担当技師が採血・培養容器の使用期限や状態確認の実施を行った。【結果】調査期間中、院内全体で使用不可となった採血容器は計211本。その内訳は血沈検査用(3.2%クエン酸Na)37.9%、凝固検査用(3.8%クエン酸Na)12.7%、培養用スワブ12.3%、EDTA-2Na管11.3%、その他では、生化~急変時にあわてない為に~訓練後には自己評価をし、採血室においては採血室専任看護師が各参加者への評価をし、生理機能検査室においては生理機能検査室管理者が評価し、改善点をまとめ次回の訓練に反映させた。訓練は1か月に1回の頻度で実施し、役割はその都度変更して訓練した。【成果】訓練開始後に採血室で発生した患者急変は3件あった。その際には臨床検査技師がストレッチャーの用意やバイタルチェック、患者急変シートの記録等を行い、看護師や医師への引き継ぎまでを迅速に行うことができた。また、他科で患者急変が起きた際に、臨床検査技師がAEDを持参するなど積極的な対応ができるようになった。【まとめ】訓練を行う以前は患者急変時に迅速に対応することが難しかった。しかし、訓練を行うことで経験を積み、慌てず対応をできるようになってきた。今後もさらに訓練を続け、患者の安全を確保できるように努力していきたい。学検査用・ウイルス遺伝子検査用・ヘパリン管・血液培養ボトルなどであった。使用期限切れとなった採血容器に対し、状態不良での使用不可となった採血容器は38%だった。状態不良となる採血容器の殆どは血沈検査用や凝固検査用のクエン酸Na溶液が抗凝固剤として使用されている採血容器であり、その抗凝固剤が減少してしまうことが原因であった。【考察】病棟での採血容器は前日に臨床検査科にて準備し各病棟へ配布しているが、臨時採血・培養検査容器に関しては定数配置を行っている。その定数配置している採取容器が期限切れ・状態不良になっていた為、定数配置している容器の管理方法が今後の課題である。【まとめ】現在、検体採取に不適切な容器は回収し使用期限が近いものは使用を促す、もしくは病棟で使用期限内に使用できない場合は他の病棟や外来採血所などに配布して有効利用している。今後は病棟定数配置数の見直し等を実施し、病院全体での適切な検体採取に取り組んでいきたい。連絡先:048-442-1111(内線2530)105検査科内での患者急変時訓練の取り組み~急変時にあわてない為に~病棟での検体検査容器の現状調査と今後の課題◎杉村 楓1)、桑原 千津香1)、熊谷 佳奈江1)、益子 恵子1)、渋谷 賢一1)◎杉村 楓1)、桑原 千津香1)、熊谷 佳奈江1)、益子 恵子1)、渋谷 賢一1)越谷市立病院1)越谷市立病院1)◎大内 健士朗1)、滝沢 昂1)、千葉 真1)、吉田 裕希1)、勝又 彩1)、塚原 晃1)、高山 好弘2)◎大内 健士朗1)、滝沢 昂1)、千葉 真1)、吉田 裕希1)、勝又 彩1)、塚原 晃1)、高山 好弘2)戸田中央医科グループ 戸田中央総合病院1)、TMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ 戸田中央総合病院1)、TMG本部 臨床検査部2)連絡先048-965-2221 (内線2261)病棟での検体検査容器の現状調査と今後の課題検査科内での患者急変時訓練の取り組み管-3(第8会場 13:15~13:51)管-4(第8会場 13:15~13:51)EntryNo. 1EntryNo. 82

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