埼臨技会誌 Vol
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抗BI特異性を示した低温反応性自己抗体の1例照3+の反応がみられた。この反応性は37℃加温で消失した。②4/820件(0.49%)③12/1698件(0.71%)試験管法での反応増された抗体は①E.C.e.N.P1.Lea②E.C③E.c.Fyb.Jra.Lea.Leb.Mが、①と②の検出率は変わらず、②より③のほうが検出108反応増強剤の変更とカラム法導入後の不規則抗体の検出状況【はじめに/背景】赤血球型検査ガイドラインでは、間接抗グロブリン試験の反応増強剤としてLISSまたはPEGが推奨される。また、感度は使用する反応増強剤に左右されるが、自動分析装置によるカラム法では一定の検査精度が保たれ、試験管法より統一された検査結果が得られる。当院では試験管法で重合ウシアルブミンを使用していたが、2017年4月にPEGへ変更し、さらに2017年11月より自動分析装置でのカラム法への変更を行った。PEGの使用には統一された操作が必要であるため、スタッフのトレーニングを行った後に変更した。カラム法導入時は原理・判定の理解習得のトレーニングを行った。今回、3法の感度の違いを検討するため、不規則抗体の検出率を調査した。 【調査内容】不規則抗体スクリーニング検査を行った件数のうち、抗体を検出した数を①2016年6月~2017年3月:重合ウシアルブミン使用期間②2017年4月~2017月8月:PEG使用期間③2017年11月~2018年6月:カラム法期間の作成を開始した日とした。【結果】①8/1569件(0.50%)に分けて集計した。集計開始日は、不規則抗体保有カード【はじめに】赤血球に対する低温反応性自己抗体は抗Iが有名であり、A抗原B抗原に対する特異性は稀である。今回我々は、抗BI特異性を示す低温反応性自己抗体を経験したので報告する。【症例】61歳、男性。2018年3月大腸ポリープ切除の目的で来院した。内視鏡的切除術のため血液型検査を実施したところ、オモテB型、ウラO型で、総合判定は保留となった。なお患者は輸血歴、グロブリン製剤の投与歴は無い。【方法】免疫血液学検査は日本輸血・細胞治療学会『輸血検査のためのマニュアルVer.1.3.1』および各試薬の能書に従った。また追加検査を関東甲信越ブロック血液センターに依頼した。【結果および考察】自動分析装置によるABO血液型検査はオモテB型、ウラはA1血球3+、B血球3+でO型、総合判定は保留であった。不規則抗体スクリーニングは酵素法のみ全ての検査赤血球にW~2+の反応であった。試験管法による精密検査では、患者赤血球と抗Aの吸着解離試験は陰性であり、糖転移酵素活性はB型のみ反応を示した。強剤の変更による検出率に違いはなかった。カラム法導入後は検出率が約0.20%上昇した。また、集計期間中に検出であった。【考察】PEGの使用が一番感度が良いとされる率は高かった。PEGの使用にて、操作が不十分であることが考えられ、スタッフの手技の確認が必要であると考えられる。カラム法では酵素法のみで凝集を認める場合もあり、それにより検出率が上がっているとも考えられる。検出された抗体の種類も調査したが、期間が短く、検出傾向まで検討できなかった。【まとめ】不規則抗体同定検査は試験管法で行う。スクリーニング検査陽性で不規則抗体の存在が疑われる場合、試験管法で見逃さないためにも、早急な手技の確認が必要である。また自動分析装置導入によって、試験管法の手技が不慣れになるため、定期的なトレーニングの検討を行い、検査精度の維持・向上につなげたい。   連絡先:04-2953-6611(内:1290)以上から患者はB型と判定した。生食法において同定パネルは陰性~2+、B血球3+、自己対酵素法では自己対照のみ2+であったがPEGクームス法は全て陰性であった。それにより患者血清中に低温反応性自己抗体の存在が示唆された。追加検査を関東甲信越ブロック血液センターに依頼し、B型の特異性を確認した。また、患者血清の反応性は自己赤血球による吸収で消失し、生食法で成人BI型赤血球に16倍、OI型赤血球に2倍、Bi、Oiの各赤血球とO型臍帯血に対しては1倍となった。以上により患者の自己抗体は抗BI特異性を示した。【まとめ】患者は血液型B型、血清中に抗BI特異性を示す低温反応性自己抗体を保有していた。赤血球輸血ではB型を準備したが輸血の実施には至らなかった。【謝辞】今回検査にご協力いただいた関東甲信越ブロック血液センターに深謝申し上げます。連絡先 049-276-2044◎小出 采歩1)、辻井 恵美1)、関根 星香1)、安藤 恭代1)◎小出 采歩1)、辻井 恵美1)、関根 星香1)、安藤 恭代1)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)◎本田 優未1)、山 麻衣子1)、加藤 由佳1)、鈴木 雅之1)、内野 富美子1)、山田 攻1)、池淵 研二1)、岡田 義昭1)◎本田 優未1)、山 麻衣子1)、加藤 由佳1)、鈴木 雅之1)、内野 富美子1)、山田 攻1)、池淵 研二1)、岡田 義昭1)埼玉医科大学病院1)埼玉医科大学病院1)EntryNo. 45EntryNo. 50反応増強剤の変更とカラム法導入後の不規則抗体の検出状況抗BI特異性を示した低温反応性自己抗体の1例輸-1(第9会場 10:07~10:43)輸-2(第9会場 10:07~10:43)

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