埼臨技会誌 Vol
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輸 血109前日の検査結果を用いた末梢血幹細胞採取におけるプレリキサホル投与条件の検討さらに詳細に検討し、高額な薬剤であるプレリキサホルの、さらに費用対効果の高い使用に貢献できるよう検討を進めていきたい。連絡先04-2995-1511◎北原 裕士1)、工藤 亜紀1)、大関 敬子1)、田村 佳織1)、森田 洋平1)、飛田 若菜1)、清水 則明1)、高山 好弘2)◎北原 裕士1)、工藤 亜紀1)、大関 敬子1)、田村 佳織1)、森田 洋平1)、飛田 若菜1)、清水 則明1)、高山 好弘2)戸田中央医科グループ 新座志木中央総合病院1)、TMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ 新座志木中央総合病院1)、TMG本部 臨床検査部2)◎佐藤 雅紀1)、坂口 武司1)、小森 幸子1)、直井 健治1)、関塚 久美1)◎佐藤 雅紀1)、坂口 武司1)、小森 幸子1)、直井 健治1)、関塚 久美1)防衛医科大学校病院1)防衛医科大学校病院1)当院でのダラツムマブ使用患者における交差適合試験連絡先:048(474)7211内線451【はじめに】2017年より多発性骨髄腫の治療薬としてダラツムマブが日本でも承認された.ダラツムマブは骨髄腫細胞に発現されるCD38抗原と結合し抗腫瘍効果を示す.しかしCD38抗原は赤血球にも発現しているため,ダラツムマブ使用患者での間接抗グロブリン試験(以下IAT)において,血清中のダラツムマブが,赤血球上のCD38抗原と凝集反応を起こし,ダラツムマブ使用後,最大6ヶ月間偽陽性を呈する.交差適合試験に使用される赤血球をジチオストレイトール処理(以下DTT処理)することでCD38抗原が変性し,ダラツムマブによる偽陽性を防ぐことが出来る.当院でもダラツムマブを使用している患者が輸血を実施することになったのでその経験を報告する.【対象】当院のダラツムマブ使用患者の交差適合試験計6回分(投与後約3ヶ月)を対象とした.【方法】当院の交差適合試験は生理食塩液法(以下Sal),ブロメリン法,IAT(反応増強剤はPEGを使用)を実施しており,主試験だけでなく副試験も実施している.ダラツムマブ使用患者でもDTT未処理血球での交差適合試験に加え,【はじめに】当院では末梢血幹細胞採取は末梢血CD34陽性細胞数(以下CD34)が10個/μl以上で採取を行っている。私たちは、これまでの検討にてLD値でCD34が予測可能であり、LD値が300以上でCD34の結果が良好であることを示してきた。昨今はCD34陽性細胞動員不良例に対しプレリキサホルが投与されているが、当薬剤は高額である。今回、当院における投与条件の一助となり得る検査項目について、若干の知見を得たので報告する。【対象】2015年4月から2018年4月までに末梢血幹細胞採取が実施され、前日および当日のCD34・LD・WBC数の測定があった14例を対象とした。【検討方法】対象14例をプレリキサホル投与群(10例)と非投与群(4例)に分け、①採取日当日のCD34とLD。②採取日前日のCD34とLD,「CD34」/「WBC数」をそれぞれ比較検討した。【結果】①ではCD34が10個以上である例では、投与群で8例、非投与群で4例であった。LDが300以上である例は投与群で9例、非投与群で3例であった。投与群の内の2例はCD34が10個未満で採取が施行され、内1例はLDがDTT処理済血球でIATのみ実施した.【結果】Sal,ブロメリン法は6回全て陰性だった.DTT未処理血球を用いたIATでは主試験でw+~1+の凝集を認めたのが4回,陰性が2回,副試験は全て陰性だった.DTT処理済血球を用いたIATでは全て主試験は陰性だった.副試験は1回だけw+の凝集を認めたが,主試験が陰性だったので輸血を実施した.【まとめ】DTT未処理血球を用いたIATで陰性の結果が得られたことから,必ずしも偽陽性が起こるわけではないと言える.DTT未処理血球を用いたIATの主試験で凝集を認めたが,DTT処理済血球を用いたIATでは陰性になったことからDTT処理によりCD38抗原が変性し,偽陽性の回避が出来たと言える.しかしDTT処理により赤血球上のCD38抗原を変性させているにも関わらず,副試験で凝集したことがあったので,その理由について今後検討したい.300未満であった。②では、CD34が10個以上である例は、投与群で3例、非投与群で4例であった。LDが300以上である例は、投与群で5例、非投与群で3例であった。CD34が10個以上かつLD300以上の例は投与群、非投与群合わせて6例であり、内5例で「CD34」/「WBC数」が0.36以上であった。【考察】①の検討より、LDが300以上である12例中11例でCD34が10個以上であったことより、LDはプレリキサホル投与の有無に関わらず、CD34を反映していると考えられた。②の検討よりCD34が10個以上かつLD300以上の例では6例中5例で「CD34」/「WBC数」が0.36以上であったことより、「CD34」/「WBC数」もCD34を反映していると考えられる。【まとめ】今回の検討で、前日のCD34が10個以上かつLDが300以上かつ「CD34」/「WBC数」が0.36以上の例ではプレリキサホルの投与は不要であることが示唆された。今回得られた解離例をEntryNo. 33EntryNo. 69当院でのダラツムマブ使用患者における交差適合試験前日の検査結果を用いた末梢血幹細胞採取におけるプレリキサホル投与条件の検討輸-3(第9会場 10:07~10:43)輸-4(第9会場 10:07~10:43)

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