埼臨技会誌 Vol
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4月,開始後:2017年5月~2018年4月)の手術に対するC/T比の比較は、開始前:赤血球製剤依頼件数630件,C/T比1.70.開始後:赤血球製剤依頼件数540件,C/T比1.77.時間外を除いた赤血球製剤依頼件数514件,C/T比1.67であった。 C.C開始したことにより業務の合理化はできた.また,抗体スクリーニングの有効期間を3日としたことにより安全性は高まったと思われる。しかし,C/T比には変化が見られなかった。このことは,時間外を除く全ての手術に対輸 血―手術室での運用―111コンピュータクロスマッチ開始後に見えた課題 当院では廃棄血削減の為,血液製剤の過剰在庫を控えている.しかし,手術での予期せぬ出血が起きた場合や、外来での重症貧血患者に対し迅速な血液供給が出来ないことと,全症例血清学的な交差試験を実施する為,交差試験後追いでの輸血時に繁雑さを感じていた.また,継続的な輸血が有る患者であっても抗体スクリーニングの結果の有効期間を2週間とし,その間は交差試験の結果のみで輸血を実施いていた.以上の問題点を改善する為,2017年5月より血清学的交差試験を省略し,コンピュータクロスマッチ(以下C.C)を開始した. C.C開始に伴い抗体スクリーニングの有効期間を輸血日から3日間とし,3日を超えた場合は新たな検体で実施することと,輸血歴の無い場合は30日間有効とすることにした.また,当院は時間外の輸血検査がオンコール体制となっている為,時間外の術中出血に対し必要な時に準備するC.Cでは対応できない.よって,手術が時間外になる場合は,予測必要量を患者用に割付けて準備することにした. C.C開始前後1年間毎(開始前:2016年5月~2017年【はじめに】当院は平成29年11月に外科病棟を200床増設とともに, 獨協医科大学埼玉医療センターとして新たに開院した. 手術室は10部屋増の20部屋となった. また, 輸血部が臨床検査部輸血検査室から独立した組織となり, 手術室に隣接された. 今回, 独立から約1年の当輸血部の環境および手術室における運用について, 手術室スタッフを対象としたアンケート結果を含めて報告する. 【概要】輸血部は手術室の中心部に設置され, 必要時の輸血製剤および検体の受け渡しが迅速になった. 人員は検査技師5名(内1名が輸血認定技師)が配属され, 宿日直時は臨床検査部と連携し24時間対応とした. 検査はオーソビジョンを日常は2台, 宿日直時は1台(1台はバックアップ用)で稼働した. また, ISO15189取得に伴い, 衛生および非衛生区域を明確にした. 現在, 輸血管理料Ⅰを取得し, 平成30年4月からは日本輸血・細胞治療学会認定輸血検査技師制度指定施設として認定された. 【手術室との連携】①輸血用血液製剤:手術時の輸血製剤受け渡しは, 輸血部から製剤と無線LAN対応の輸血システム用ノートPCを専用ワゴンにて運しT&Sを導入できていないからである.予定手術における赤血球製剤の準備は確実に使用する量としていても,その判断は担当医に委ねられている。今後は事前に準備しておくこととC.Cとでは輸血開始までに大差が無いことから、全ての手術にT&Sを導入し、本当の意味での合理化を目指す必要がある。連絡先:048-593-1212(6157)搬し, 各手術室入り口にて照合できる運用とした. 当運用により, 迅速な輸血対応が可能となり, かつ, 手術スタッフが手術に集中できるようになった. ②採血検体:手術中の検査の採血実施の際には, 各手術室のスタッフが輸血部に直接検体を運搬し, 輸血部での対応処理を行っている. また, 必要時には採血管を各手術室まで輸血部技師が届けている. 患者や手術の状況を直接確認でき, 検体取違え防止にも有効であると期待される. 【アンケート結果】輸血部が手術室に隣接する以前から手術室に勤務している看護スタッフを対象にアンケート調査を行った. (回収率83%) 95%以上が出庫時間が短縮され, 負担が軽減されたと回答した. 【まとめ】今回の増床に伴う環境整備により, 手術時の迅速かつ適切な対応が確立し, 手術部との連携が強化された. 当院のシステムは「安全かつ適正輸血」をチーム医療として運用でき, 今後の輸血部運営の一つのモデルとして考えられ報告する.                連絡先:048-965-1111独立した輸血部の現状―手術室での運用―◎佐藤 隆博1)、牧野 悠花1)、西澤 鈴子1)、高橋 郁子1)◎佐藤 隆博1)、牧野 悠花1)、西澤 鈴子1)、高橋 郁子1)学校法人北里研究所 北里大学メディカルセンター1)学校法人北里研究所 北里大学メディカルセンター1)◎菅原 未稀1)、中島 あつ子1)、齊藤 理央1)、杉田 好1)、石川 貴徳1)、小沼 善明1)、樋口 敬和1)◎菅原 未稀1)、中島 あつ子1)、齊藤 理央1)、杉田 好1)、石川 貴徳1)、小沼 善明1)、樋口 敬和1)獨協医科大学埼玉医療センター1)獨協医科大学埼玉医療センター1)EntryNo. 9EntryNo. 14コンピュータクロスマッチ開始後に見えた課題独立した輸血部の現状輸-7(第9会場 10:44~11:11)輸-8(第9会場 13:15~13:42)

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