埼臨技会誌 Vol
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輸血後感染症検査の実施率向上への取り組みと今後の課題114【はじめに】2015年に当院の輸血療法委員会にて輸血同意書改訂を実施する際、「輸血療法の実施に関する指針」および「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」に沿って輸血後感染症検査の実施体制を構築した。輸血後感染症検査実施率は年々向上しているが、今年更なる実施率向上を目的に対策を検討・実施したので報告する。【対象・方法】対象:2018年1月~3月までの3ヶ月間で赤血球製剤を輸血した265名(同意なし・死亡例は除く)。方法:輸血療法の実施が確認され、かつ当院輸血同意書により輸血後感染症(HIVを含む)検査に同意を得られた患者に対して、輸血から2~3か月後にHBV-RTPCR・HCVコア蛋白・HIV抗体の検査を実施した。さらに新たな取り組みとして、採血依頼がない場合は再診日を確認し、主治医へ依頼を入れてもらうようにお願いした。【結果】輸血後感染症検査の実施率推移2015年実施率1%以下【考察】実施体制構築前の2015年は実施率が1%以下であ2016年2017年2018年56.1%55.5%64.5%ったが、2016年・2017年には約55%、さらに新たな取り組みの成果で2018年の実施率は64.5%と向上した。また、再診日の検査未実施率は2017年の25.1%と比較し、2018年は15.4%と減少した。しかし受血者の転院・退院で検査が出来なかった事例が20.1%あり、今後の課題として挙げられた。【まとめ】昨年より転院先にて輸血後感染症検査実施を推奨・フィードバックする体制構築を検討していたが、2018年7月に輸血療法委員会にて輸血同意書を改訂し、当院での検査が困難な場合、近医受診での検査を促す文面を新たに盛り込み、「輸血後感染症検査のおすすめ」と題した文書を作成した。当院で輸血療法を実施した患者様全員に配布し、当院または当院以外の医療機関で輸血後感染症検査を受けるように推奨している。さらに当院以外の医療機関で実施した際には当院検査科まで御連絡いただけるよう記載した。その運用と実施状況について今後も継続して取り組んでいく。連絡先:048-442-1111(内線2530)◎横濱 茉里乃1)、小原 佑太1)、小曽根 江美1)、塚原 晃1)、高山 好弘2)◎横濱 茉里乃1)、小原 佑太1)、小曽根 江美1)、塚原 晃1)、高山 好弘2)戸田中央医科グループ 戸田中央総合病院1)、TMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ 戸田中央総合病院1)、TMG本部 臨床検査部2)輸血後感染症検査の実施率向上への取り組みと今後の課題輸-13(第9会場 13:43~14:10)EntryNo. 84

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