埼臨技会誌 Vol
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46【チーム医療を実感した事例】 詳細な報告は学会場にて行うが、感染対策部在籍中に、A診療科の外来および入院患者におけるMRSAのアウトブレイク事例を経験した。当該診療科への介入の際にPOT法のデータが強い根拠となり、診療科スタッフの積極的な協力を得ることができた。感染対策部のスタッフもそれぞれの専門性を活かし、アウトブレイクを早期に解決できたことは筆者にとってチーム医療の真髄を実感した事例であった。 【まとめ】 チーム医療の中での臨床検査技師の役割は検査に関する専門的な知識、技能をチームにフィードバックすることは言うまでもないが、業務を円滑に進めるためにもコミュニケーション能力の向上が必須であると考える。 チーム医療の一員として考える臨床検査技師の可能性は、「(自分に)何かできることはないだろうか」「(自分は)何を求められているか」といった今の現場に足りないものを見極め、行動することで生まれるかもしれない。 新設された医療安全・感染対策部発足メンバーとしての経験~チーム医療の一員として考える臨床検査技師の可能性~ 【はじめに】 平成28年10月に防衛医科大学校病院に、医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師ら多職種の医療スタッフから構成される医療安全・感染対策部(以下、感染対策部)が発足した。筆者は、発足と同時に検査部から感染対策部へ人事異動になり、他職種のスタッフと共に「院内感染防止対策の立案と実施」という共通の目標に対して日々の業務に取り組む中で様々な経験を積み、チーム医療の重要性を再確認することができた。また、組織のスタート時に臨床検査技師としての業務の方向性をきめた取り組みとチーム医療を実感した事例について紹介する。 【臨床検査技師としての取り組み事例】 感染対策部の発足前から、院内感染対策チーム(ICT)の一員として活動してきたが、感染対策部に属する臨床検査技師として、「防衛医科大学校病院のICT活動になかったもの」、「より高度に臨床検査技師の専門性が活かされる業務」を考えたときに、それまでは実施していなかった分子疫学検査(POT法)と薬剤耐性因子の遺伝子検査の導入を開始することを決めた。幸いにも検査に必要な機器、試薬などは調達可能な状態であり、スムーズにルチン化することができた。 濱本 隆明(防衛医科大学校病院 検査部) 濱本 隆明…(防衛医科大学校病院 検査部) 新設された医療安全・感染対策部発足メンバーとしての経験~チーム医療の一員として考える臨床検査技師の可能性~

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