埼臨技会誌 Vol
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津田聡一郎(富士フイルムモノリス株式会社) 検査の昨日・今日・明日 「人工知能によって20年以内に人類の仕事の49%が消滅する」とオックスフォード大学が2014年に発表したのを会員の皆さんはご存知でしょうか? これを告げるニュースが流れた後、週刊誌・月刊誌、ネットのニュース記事に、「あと10年で『消える職業』『なくなる仕事』」とか、「あなたの仕事と給料が「AI」に奪い取られる日」といった衝撃的な見出しが毎日のように見受けられます。また実際の成績として画像・形態の認識・識別から、外科的な手術に至るまで、AIによる実験的・実地的な結果が報告されるようになって来ていて、判断業務から細かな手技までで驚くべき成績を上げています。 そんな中で「これから給料が「下がる仕事」「上がる仕事」全210職種」という記事が出て、この中で次のように記載されていました。「・・そうしたホスピタリティや臨機応変な対応ができるというのは、人間が持つ強力な能力・・」「・・まさにホスピタリティがものいう時代だから。・・」 「検査技師」「検査技師として」というよりも「(ヒトが)ヒトとして」という切り口で、検査技師業務について見つめることを求められる時代が待っている、と私は考えています。 52 平成30年12月2日にこの埼玉県医学検査学会は開催当日を迎えます。「平成」の年号では最後の県学会となり、来年の第47回県学会は新しい元号の下での開催となります。時代が変わる、という節目に当たる学会となります。 「温故知新」古きを温めて新しきを知る、という言葉が有りますが、未来を予想する前に、今日ここに至るまでの過程を取り上げます。過去を知ることが今を分析する糧になり、未来を予想する参考になればと願っています。 様々な分野・切り口で歴史を振り返ると、それまでの常識ややり方が、新しい技術が加わることで大きく変わったり、それまでとは全く違ったモノになったりすることを私たちは経験してきました。そしてその変化のスピードは加速度的に増してきた、ということを意識しなくてはなりません。 昨年度まで埼臨技会長職を務めさせて頂いた私・津田は機会ある毎に、医療の経済問題の中での検査技師の立場や、医療の制度の中での立ち位置を捉え直すことを会員の皆さんに訴え、声掛けして来ました。今後もそのことが重要なのは変わりないのですが、さらに注目しておかなくてはならないのが、コンピュータ技術の発展・進歩、特に人工知能と呼ばれているAIの進歩とその社会進出です。 津田 聡一郎…(富士フイルムモノリス株式会社) 検査の昨日・今日・明日

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