埼臨技会誌 Vol
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CV%はIgA 2.5~6.2%, IgM 3.9~6.0%であった.3)試薬メーカーとの相関:同一機器(BEP-Ⅲ:シーメンス社製)を用いて測定した結果,IgAは回帰式y=1.0409x+0.4454,相関係数r=0.9940,IgMは回帰式y=1.0504x-0.2389,相関係数r=0.9907であった.4)保存安定性:低・中・高3濃度のコントロール血清を凍結(-20℃),冷蔵(4℃),室温(25℃)で保存し,1日後,2日後,5日後,7日後に測定した結果,全温度帯の7日後の変化率は91.1~114.1%と良好であった.5)妨害物質の影響:干渉チェックAプラスを用いて高濃度添加した場合の影響を低・中・高3濃度のコントロール68室温保存によるBNP値の影響ノバグノスト百日咳/IgA・IgMの基礎検討【はじめに】脳性Na利尿ポリペプチド(BNP)は,32のアミノ酸からなる降圧利尿物質であり,心室容量負荷によって心室から分泌される循環調節ホルモンである.心不全の重症度に応じて上昇するため臨床的に心不全マーカーとして用いられている.試薬添付文書によると,血漿検体を室温に保存した場合には,採血から4時間以内に測定を行うこと,とあるが4時間後以降の測定値にどのような影響があるか詳細は記載されていなかった.そこで,実際にどのような影響があるのか経時変動を調査した.【方法】分析器はARCHITECT i2000SR(Abbott社),試薬はアーキテクトBNP-JP(Abbott社)を使用し,化学発光免疫測定法(CLIA法)で測定した.検体はEDTA採血された血液量4-5mlの患者検体を20検体抽出し(ただし溶血検体は除く),遠心分離した血漿を到着後と室温保存で1時間毎に6時間後まで測定した.【はじめに】百日咳菌の産生する毒素(PT)に対するIgG抗体(抗PT-IgG抗体)は今までも実施されていたが,ワクチン接種によっても上昇するため,接種歴がある患者では判断しにくかった.また,抗PT-IgG抗体は3~4週間以降でないと上昇しないことから急性期での判断もしにくかった.しかし,シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティック株式会社で製造販売開始されているノバグノスト百日咳/IgAとIgMを測定することで,百日咳患者の早期診断と早期治療が可能となった.そこで今回我々は,ノバグノスト百日咳/IgAとIgMの基礎検討を行った.【方法及び結果】1)同時再現性:低・中・高3濃度のコントロール血清を用いて10回連続測定した結果,変動係数CV%はIgA 3.1~12.8%, IgM 2.8~8.4%であった.2)日差再現性:低・中・高3濃度のコントロール血清を測定後4本ずつ分注管に小分けし凍結保存したものを1日後,2日後,5日後,7日後に解凍し測定した結果,変動係数【結果】到着後の値を基準として,1時間後から6時間後それぞれの値の平均変動率は,1時間後-3%,2時間後-8%,3時間後-9%,4時間後-11%,5時間後-11%,6時間後-11%であった.【考察】測定値にばらつきはあるものの減少傾向にあった.4時間後には変動率が10%を超えたが,その後に大きな変動はみられなかった.試薬添付文書による,再現性は95%信頼区間の上限において12%以下である,という記述より6時間後までの平均変動率の影響は少ない.しかし,3時間経過時より約20%減少しているものを20検体中8件認めた.業務において,患者負担軽減の為にBNP検査の追加依頼を受けることがある.そのような場合には採血時間の確認や測定値が減少傾向になることを念頭におき,臨床側に報告するべきであると考える.連絡先048-252-4873血清を用いて確認した結果,影響はみられなかった.【まとめ】今回,基礎検討を行って良好な結果が得られた.本試薬を用いることで従来法に比べて迅速な診断が可能となり,有用と思われる. 連絡先-049-230-5078◎安藤 佳央理1)、清水 亨一1)、冷水 花1)、井上 直輝1)、中里 洋介1)、白石 一也1)◎安藤 佳央理1)、清水 亨一1)、冷水 花1)、井上 直輝1)、中里 洋介1)、白石 一也1)医療法人新青会 川口工業総合病院1)医療法人新青会 川口工業総合病院1)◎佐藤 郁実1)、宮沢 章1)、木戸 誠二郎1)、大園 強1)、奈良部 安1)◎佐藤 郁実1)、宮沢 章1)、木戸 誠二郎1)、大園 強1)、奈良部 安1)株式会社 ビー・エム・エル総合研究所1)株式会社 ビー・エム・エル総合研究所1)EntryNo. 48EntryNo. 21室温保存によるBNP値の影響ノバグノスト百日咳/IgA ・IgMの基礎検討免-2(第1会場 10:37~11:04)免-3(第1会場 10:37~11:04)

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