埼臨技会誌 Vol
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微生物公衆衛生連絡先:048(973)4799【背景・目的】当研究室では以前7つの有効作用(殺菌、治療、脱臭、分解、漂白および表面処理作用)を示すと言われているオゾンに着目し、長時間オゾンを安定化させたオゾンジェルを用いることによりう蝕原因菌であるStreptococcussmutansや歯周病原因菌であるPorphyromonassgingivalis、Prevotella intermedia、Actinobacillussactinomycetemcomitansの殺菌効果について検討してきた。現在、高齢化の進展に伴い、高齢者のカンジダ誤嚥による肺炎が注目されている。高齢者は嚥下反射や接触機能は低下し常に誤嚥の危険性がある状態にあるため口腔ケアが重要視されている。そこで、本研究は誤嚥性肺炎の主要原因菌種の一つとされているCandidasalbicansについて、オゾンジェルの効果について検討したので報告する。【方法】C.albicanss(ATCC10231)は住商ファーマインターナショナルから購入したものを用いた。C.albicandsの検出には、Sabouraud寒天培地を用いた。また、簡易にC.albicansを検【背景・目的】当研究室では以前7つの有効作用(殺菌、治療、脱臭、分解、漂白および表面処理作用)を示すと言われているオゾンに着目し、長時間オゾンを安定化させたオゾンジェルを用いることにより口腔内の菌の殺菌効果を検討してきた。オゾンジェルはpH1.3と非常に強酸であるため、口腔内に直接オゾンジェルを注入すると、歯のエナメル質が溶ける脱灰が起こることが考えられる。そこで、本研究はオゾンジェルにpH調整剤を加え、アルカリ性条件にしたオゾンジェルの殺菌効果を検討したので報告する。【方法】Streptococcussmutanss(ATCC25175)及びC.albicans (ATCC10231)は住商ファーマインターナショナルから購入したものを用いた。S.mutansの検出はMitis-Salivarius培地に15%のスクロースと0.2U/mLのバシトラシンを添加したMitis-Salivarius-Bacitracin(MSB)培地を用いた。C.albicandsの検出には、Sabouraud寒天培地を用いた。オゾンジェルのpH調整剤として、炭酸水素ナトリウム、出できるカンジダディテクター(亀水化学工業)を用いた。各々、オゾンジェル(ブイエムシー)と菌液を混合し、5分間放置後、培地に塗布し37℃で48時間培養した。対照には滅菌グリセリンと菌液を混合したものを用いた。培養後、増殖した菌の集落数(colonysformingsunit:CFU)を目視で観察し、1mLあたりの生菌数(CFU/mL)を換算した。【結果】オゾンジェルと菌液を混合したものは、対照に比べ1/10の菌数になっていた。また、カンジダディテクターで確認したところ、対照では陽性と判定されたが、オゾンジェルと菌液を混合したものは陰性と判定された。【まとめ】本研究の結果、オゾンジェル中のオゾンによってC.albicansが殺菌されていることが証明された。しかし、オゾン濃度が低いこともあり殺菌効果は弱いことが示唆された。オゾンジェルは耐性菌が出現せず、また人体にとっても安全であるため、今後口腔ケアの一助になると考えられる。セスキ炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムを用いた。オゾンジェルとpH調整剤、菌液を混合し、5分間放置後、培地に塗布し37℃で48時間培養した。対照には滅菌グリセリンと菌液を混合したものを用いた。培養後、増殖した菌の集落数(colony forming unit:CFU)を目視で観察し、1mLあたりの生菌数(CFU/mL)を換算した。【結果】オゾンジェルとpH調整剤を混合したところ、炭酸水素ナトリウムはpH7.7、セスキ炭酸ナトリウムはpH8.8、炭酸ナトリウムはpH9.7となった。それらの混合液に菌液を混ぜ、殺菌効果を確認したところ、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムでは対照と比べ、S.mutans、C.albicansがともに減少していた。【まとめ】本研究の結果、オゾンジェルのpHを上昇させても殺菌効果があることが証明された。しかし、pH1.3のオゾンジェルそのものよりも殺菌効果は弱いことが示唆された。オゾンジェルは耐性菌が出現せず、また人体にとっても安全であるため、今後口腔ケアの一助になると考えられる。 連絡先:048(973)479975◎北本眞子1)、佐藤 茉莉乃1)、伊藤 奏2)、久保田 亮3)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、◎北本眞子1)、佐藤 茉莉乃1)、伊藤 奏2)、久保田 亮3)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯理工保健東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯理工保健学専攻2)、埼玉県立大学3)学専攻2)、埼玉県立大学3)◎佐藤 茉莉乃1)、北本 眞子1)、伊藤 奏2)、久保田 亮3)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、◎佐藤 茉莉乃1)、北本 眞子1)、伊藤 奏2)、久保田 亮3)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯理工保健東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯理工保健学専攻2)、埼玉県立大学3)学専攻2)、埼玉県立大学3)オゾンジェルを用いたCandida albicansの殺菌効果 オゾンジェルのpHによる殺菌効果の検討オゾンジェルを用いたCandida albicansの殺菌効果オゾンジェルのpHによる殺菌効果の検討公-1(第4会場 13:53~14:11)公-2(第4会場 13:53~14:11)EntryNo. 100EntryNo. 94

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