埼臨技会誌 Vol
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生 理【はじめに】睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)は循環器疾患と密接な関りがあり,特に重度のSASは生命予後に関与することが知られている.SASの治療には持続陽圧呼吸療法(以下CPAP)が用いられるが,病態認識の乏しさ又は鼻づまりなどが理由で離脱する患者が多く報告されている.当院では,外来にて十分な説明が行われていない事もあり,CPAP離脱予防のためポリソムノグラフィー(以下PSG)検査取り付け時,検査技師による十分な説明を行っている.しかし,その後のCPAP離脱者については検討していなかった.今回,我々は2016年6月よりPSG検査取り付け時に患者理解度アンケートを実施し,当院で実施したSAS患者におけるアンケート及び鼻腔通気度検査の結果からCPAP離脱との関連性について検討したので報告する.【対象及び方法】対象は2016年6月~2018年3月までにアンケート,鼻腔通気度検査を行った54名とした.患者理解度アンケート内容は,①病態,治療法についてよく理解できた,②ある程度理解できた,③なんとなく理解できた,④難しく,理解できなかった,の4項目である.また,患者理解度アンケ【はじめに】当院は地域医療の拠点的役割を担うと共に,救急体制の充実の為2018年1月より120床増床し新設移転した.これを機にてんかん治療体制をより充実すべく,てんかんセンター病棟を新設したことから,検査部としても診断・治療に寄与するため,長時間ビデオ脳波モニタリング(以下LvEEG)などの検査体制を変更したので報告する.【運用体制】当院の脳波計はてんかんセンターにLvEEG用4台,ICUに救急用2台,生理検査室に2台の計8台で検査を行っている.LvEEG検査入院の個室は2床あり,カメラは全身および顔の撮影用計2台設置.データは専用サーバー(CNN Plus日本光電)に保存している.LvEEG検査の電極の装着は換気扇の付いた脳波準備室で行い,メジャーにて正確に電極を装着.波形や映像は脳波準備室とモニタリングルームでリアルタイムに確認できる. 今年の4月より脳波専従の技師を配置し,朝回診に付き,てんかんセンターの医師と連携を取っている.脳波専従技師はモニタリングルームで電極の外れや抵抗を監視している.記録された脳波波形を確認し,発作波形が検出できて81新病院における長時間ビデオ脳波モニタリング検査の体制◎日下部 駿人1)、村田 貴司1)、神澤 和樹1)、神尾 武1)、若松 智子1)、猪浦 一人1)◎日下部 駿人1)、村田 貴司1)、神澤 和樹1)、神尾 武1)、若松 智子1)、猪浦 一人1)埼玉県済生会栗橋病院1)埼玉県済生会栗橋病院1)◎守屋 華1)、鹿島 さやか1)、鈴木 翔子1)、近藤 朝子1)、川井 千穂1)、福地 聡子1)、南雲 裕次1)、高山 好弘2)◎守屋 華1)、鹿島 さやか1)、鈴木 翔子1)、近藤 朝子1)、川井 千穂1)、福地 聡子1)、南雲 裕次1)、高山 好弘2)戸田中央医科グループ TMGあさか医療センター1)、TMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ TMGあさか医療センター1)、TMG本部 臨床検査部2)ート結果, 鼻腔通気度検査(チェスト社製HI-801),CPAP治療継続状況を基に結果を算出した.【結果】54名中,理解度①の患者は23名で,鼻腔通気度検査正常13名,異常10名で23名全員がCPAP継続していた.理解度②の患者は24名で,鼻腔通気度検査正常11名,異常13名で異常13名の内1名が離脱し,他23名はCPAP継続していた.理解度③の患者は7名で,鼻腔通気度検査正常4名,異常3名で正常4名の内3名が離脱し,他4名はCPAP継続していた.理解度④の患者は0名であった.【考察】理解度①,②の患者は離脱率が低く,全体の離脱者4名の内3名が理解度③であった事から,説明の重要性が明瞭となった.また,鼻腔通気度検査が異常であった患者も説明をしっかり行っていた事から,離脱者を1名にまで減らす事が出来たのではないかと考える.今回の検討によりSASの病態,治療法についての説明と理解が有用であることが分かった。今後も患者にしっかりと説明し1名でも多く,CPAP離脱者を減らす事に取り組んでいきたい. 連絡先0480-52-3611 (内線1813)いない患者に対して医師の指示の下,光刺激や過呼吸などの負荷も実施している.また救急搬送されたNCSE疑いや意識障害等の患者の当日緊急オーダーにも対応している.【結語】検査入院の部屋や脳波計の台数が増加したことで緊急にも対応でき件数増加に繋がった.データが専用サーバーに保存されることで院内電子カルテ端末全てから閲覧可能になった為,医師が迅速に脳波・映像を閲覧し判読できる.脳波専従技師を配置した事,モニタリングルームの新設やカメラの増加によって検査の質が向上した.救急脳波を行うことにより早い診断・治療の迅速化に繋がっている.【今後の課題】緊急検査や電極付け直しに迅速に対応できるよう脳波電極を装着できる技師の増員.発作をより早く医師に伝え,診断・治療がより迅速化していくために正常波形と異常波形を認識できる技師の育成.現在は全波形を保存しているが,サーバーの容量制限の為今後必要な部分の波形のみを整理し保存していく必要がある.これに検査技師も参加できるようにしていきたい.                連絡先:048-463-7284新病院における長時間ビデオ脳波モニタリング検査の体制EntryNo. 15EntryNo. 10当院におけるSAS患者の理解度アンケートと当院におけるSAS患者の理解度アンケートとCPAP離脱との関連性CPAP離脱との関連性生-11(第5会場 10:55~11:22)生-12(第5会場 13:15~13:51)

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