埼臨技会誌 Vol
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連絡先0480-52-3611(内線1813)  連絡先:048-601-2200(内線2554)【はじめに】当院耳鼻咽喉科では,オージオメーターの入れ替えに伴い,平成28年3月より新たに耳鳴検査を導入した.これまでの検査結果の分析について報告する.【対象・方法】平成28年3月から平成30年6月に当院耳鼻咽喉科において耳鳴検査を行った25名34耳(男性12名,女性13名,40歳~85歳,平均65.6歳)を対象とした.リオン社製オージオメーターAA-H1を用いて純音聴力検査を実施した後,ピッチ・マッチ検査にて耳鳴が125~12000Hzの周波数の純音,バンドノイズ,ホワイトノイズのどれに近似しているかを調べた.続いてラウドネス・バランス検査にて,得られた周波数の純音や雑音を用いて耳鳴の大きさを調べた.【結果】聴力型については,高音障害型が34耳中15耳で44.0%と最も多かった.耳鳴の周波数で聴力低下を認めるものは34耳中16耳で47.0%であった.耳鳴の音源については,純音が34耳中17耳で50.0%,バンドノイズが13耳で38.0%,ホワイトノイズ(スピーチノイズ)が4耳で12.0%であった.このうち高音障害型では,純音が15耳中10耳で【はじめに】自動聴性脳幹反応(以下AABR)は新生児聴覚スクリーニングとして有用性があると言われており、当院もGCU入院児を対象に実施している。AABRでreferとなった場合は聴性脳幹反応(以下ABR)を実施し確認精査を行っているが、AABRとの結果が解離する事例が散見されたため、測定条件に注目して検討を行った。【対象および方法】対象は2017年4月から2018年5月までにAABRを実施した355例中、ABRで精査を行った42例及び聴力以外の目的でABRを行った6例の計48例(96耳)について検討した。測定機器はNatus Medical社製エコースクリーンⅢシリーズ(AABR)、日本光電製MEB-9404(ABR)を使用した。対象の96耳についてAABRとABRの結果が一致した群(75耳)、referから検聴域(20~30dB)となった偽陽性群(12耳)、passから難聴域(40dB~)となった偽陰性群(9耳)の3群に分け、筋電妨害と測定時間について多重比較検定を行った。【結果】偽陽性群は他の2群に比べ、有意に筋電妨害が多く、検査時間が長かった。(P<0.01)偽陰性群と一致群に66.7%,バンドノイズが3耳で20.0%,ホワイトノイズが2耳で13.3%であった.耳鳴の周波数については,2000Hz以上の高音が,純音17耳中15耳で88.2%,バンドノイズ13耳中9耳で69.2%であった.耳鳴の大きさについては,閾値上0㏈と10dBが34耳中8耳で23.5%,閾値上5㏈が6耳で17.7%であった.【考察】高音障害型の割合が多かったのは高齢の症例が多かった為と考えられた.聴力低下の周波数と耳鳴の周波数は必ずしも一致せず,難聴だけが耳鳴の原因ではないと考えられた.耳鳴の周波数については,音源の種類にかかわらず高音の耳鳴が多くみられた.耳鳴の大きさについては,純音聴力検査の閾値より下がってしまう症例もあり,耳鳴検査を導入した事で,耳鳴が純音聴力検査の結果に影響している可能性もあると考えられた. 【結語】耳鳴の周波数,音源,大きさの特定は困難な場合も多く,今後は問診等なども上手く利用して検査を行う工夫が必要だと感じた.有意差は認めなかった。【考察】今回の検討で、偽陽性の原因は体動等のアーチファクトの混入の影響が大きいことが示唆された。一方、偽陰性群(9.4%)では、一致群と有意差が認められず、測定条件が原因であることは否定的であり、ABR実施までに難聴となる進行性の難聴疾患の存在や外耳道の状態変化等が推測されたが、偽陰性はアーチファクト混入以外にも共通する条件は見られなかった。偽陰性群のABR閾値は全て40~60dBの軽度・中等度難聴であったが、スクリーニング検査での偽陰性は極力なくす必要があり、今後は検査実施時期や、疾患との関係性にも焦点を当てて検討を続けたい。82当院におけるAABRとABRの不一致例についての検討◎菊地 久代1)、若松 智子1)、大山 英美1)、高橋 雅之1)、日下部 駿人1)、猪浦 一人1)◎菊地 久代1)、若松 智子1)、大山 英美1)、高橋 雅之1)、日下部 駿人1)、猪浦 一人1)埼玉県済生会栗橋病院1)埼玉県済生会栗橋病院1)◎黒澤 沙也加1)、新井 香那1)、稲垣 裕子1)、藤波 啓子、天野 直樹1)、鈴木 ななみ1)、榎本 英雄1)、神嶋 敏子1)◎黒澤 沙也加1)、新井 香那1)、稲垣 裕子1)、藤波 啓子、天野 直樹1)、鈴木 ななみ1)、榎本 英雄1)、神嶋 敏子1)埼玉県立小児医療センター1)埼玉県立小児医療センター1)耳鳴検査を導入して当院におけるAABRとABRの不一致例についての検討耳鳴検査を導入して生-13(第5会場 13:15~13:51)生-14(第5会場 13:15~13:51)EntryNo. 52EntryNo. 55

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