埼臨技会誌 Vol
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生 理85当院における関節超音波検査の現状報告当院で経験した男性乳がん2例◎田代 徹也1)、本多 恵理佳1)、松﨑 幸恵1)、田沼 裕恵1)、関根 由加利1)、鈴木 朋子1)、高木 賢治2)上尾中央医科グループ 彩の国東大宮メディカルセンター 臨床検査科1)、◎田代 徹也1)、本多 恵理佳1)、松﨑 幸恵1)、田沼 裕恵1)、関根 由加利1)、鈴木 朋子1)、高木 賢治2)上尾中央医科グループ 彩の国東大宮メディカルセンター 臨床検査科1)、上尾中央医科グループ 彩の国東大宮メディカルセンタ上尾中央医科グループ 彩の国東大宮メディカルセンター リウマチ・膠原病科2)ー リウマチ・膠原病科2)◎佐藤 美紀1)、上野 初音1)、田名見 里恵1)、川野 智美1)、吉成 一恵1)、菊池 裕子1)◎佐藤 美紀1)、上野 初音1)、田名見 里恵1)、川野 智美1)、吉成 一恵1)、菊池 裕子1)医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院1)医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院1)【はじめに】関節超音波(関節エコー)検査は,関節リウマチがひきおこす滑膜の炎症を直接観察する画像検査である.診断基準は存在するものの,診察や血液検査では捉えきれない炎症の有無,異常の有無,X線画像では検出できない細かい骨の変化を観察する為,近年,リウマチ性疾患の診断において,関節エコー検査の意義が高まってきている.各地でハンズオンを含めた研修会が増加傾向にある中,当院は,日本リウマチ学会専門医・指導医の指導のもと,2011年8月より関節エコー検査を立ち上げた.第1報とし,2012年に関節エコー実施に向けた立ち上げ報告を行ったことより,そこから現在に至るまでの変化と,当院での関節エコー検査の現状と課題について報告する.【現在の検査実施方法】[使用機器・プローブ]キャノンメディカルシステムズ株式会社製Aplio500・リニアプローブ(18.0Mz)[実施方法]医師1名技師1名により,1検査30分にて,検査から結果報告まで実施.また独自の検査報告書を作成した.【はじめに】女性乳癌は増加傾向にあり20人に1人の割合で発生すると言われているが,男性乳癌は全乳癌の1%と稀な疾患であり,認識不足から発見が遅れる場合が多い.当院にて2012年から2017年までの6年間に実施した全乳腺超音波検査14,691件を対象とし,男性乳腺疾患の割合を調査した.【当院の現状】男性乳腺超音波検査は全乳腺超音波検査中171件(1.2%)であった.その内女性化乳房は136件(79.5%),所見なし24件(14.0%),男性乳癌2件(1.2%),皮下腫瘤2件(1.2%),脂肪腫2件(1.2%)であった.その他として,膿瘍,線維腺腫,粉瘤,皮下炎,モンドール病があった(5.3%).このなかで男性乳癌2例を経験したので報告する.【症例1】76歳男性.前立腺癌のためホルモン療法中に他検査にて左乳腺腫大を指摘され精査となった.本人は半年前からしこりを自覚し,乳頭下縁に引き攣れを伴っていた.超音波所見:左乳輪下28.0mmの低エコー腫瘤像を認め形状不整形,内部に流入する拍動性波を認めた.左腋窩にリンパ節門の無いリンパ節を数個認め,乳腺腫瘍・リンパ節転移を疑った.針生検が施行された.結果は浸潤性乳管癌と診断された.左乳房【改善点とその効果】①予約枠の変化:開始当初は,週1回,2枠の予約としていたが,現在は週4日計6枠を開放し,予約枠以外でも医師の指示により対応可能としている.②検査数増加:2012年総件数91件から,2017年185件へ実施検査数は増加した.開始当初からの検査部位,検査方法の変化,検査報告書の変化と検査時間の変化を報告する.③技師の育成:医師からの指導も常に可能であり,院内での研修可能な体制を構築できた為,現在までに,5名が日本リウマチ学会登録ソノグラファーを取得した.また,他施設より,当院リウマチ・膠原病科医師を通じ多数の問い合わせがあり,研修の受け入れも実施している.④関節リウマチとその他疾患との鑑別の為の検査実施⑤治療の経過観察,薬剤の中止時期評価への活用【考察】関節炎を臨床的に診断するには,苦慮する事も多い為,今後も,関節エコー検査の需要は高まると思われる.更なる技術の向上と,診断の有用性の検証が今後の課題となる.       連絡先:048-665-6114(検査科直通)切除術が施行され,病理診断は充実腺管癌であった.【症例2】71歳男性.1年前より右乳房に痒みを伴うしこりを自覚し,放置していたところ増大を認め当院受診した.超音波所見:右乳房全域に75mmの無エコー腫瘤,内部に30×30mmの拍動性波を伴う充実性部分を認め,嚢胞変性を伴う乳腺腫瘍を疑った.造影MRI検査でも隔壁及び増強される充実性部分伴う80mmの腫瘤を認め乳癌を疑い,針生検が施行された.結果は少数の異型細胞が認められた.右乳房切除術が施行され,病理診断は乳管内乳頭癌であった.【まとめ】男性であっても放射線被曝環境下やエストロゲン過剰状態,女性化乳房,近親者に乳癌の既往がある場合などは乳癌になりやすいと報告されている.超音波検査は無侵襲であり,自覚がなくとも早期発見が期待できる.今回の2症例では本人は自覚していたが放置しており,今後早期発見が望まれるとともに,男性への乳癌に対する啓発活動が必要である. 連絡先 048-773-1111(内線2232)EntryNo. 77EntryNo. 11当院における関節超音波検査の現状報告当院で経験した男性乳がん2例生-19(第6会場 13:15~13:42)生-20(第6会場 13:15~13:42)

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