埼臨技会誌 Vol
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血 液【はじめに】末梢血液像検査は僅かな検体量から多くの情報を得られる有用性の高い検査である. しかし, 鏡検細胞数は1標本につき100~200カウント程度であり, 個人のスキルにも依存するため, 異常細胞が存在する場合の見逃しの可能性が課題である. 当院では芽球見逃し防止の対策として目視鏡検後の標本すべてを自動血球分類装置DI-60 (シスメックス社) にて撮像し, ダブルチェックを行っている. 今回その成果をまとめたので報告する.【方法】1) 芽球の出現が認められた検体A, B, C (目視鏡検300カウントよりそれぞれ0.7%, 3.3%, 24.3%芽球陽性) を新たに10枚標本作製し, DI-60の芽球検出の再現性を検討した. 2) 2018年7月4日~17日の標本808枚を対象に目視鏡検後DI-60にて撮像を行い, 芽球検出の一致の有無について調べた. (初期分類:DI-60の自動分類, 再分類:自動分類された細胞を技師が再分類)【結果】1) 芽球検出の再現性は, 検体A 0.6±1.6, 検体B 3.2±3.9, 検体C 23.9±7.4 (平均%±2SD) であった. 2) 目視陽性標本のDI-60による芽球検知の感度は初期・再【はじめに】 POCTは, 被検者が検査を身近に感ずる利点を有し, 被災地では重要な臨床支援をする適切な機器・試薬である, われわれは, PTの国際標準化比PT-INRのPOCTとして開発された血液凝固分析装置を用い, 性能評価を行った. その検証結果を報告する. 【対象および方法】対象は当検査部でPT検査を実施した患者検体60件(Ht 28.7~48.4%)とした. 検討機器は, エクスプレシアストライド(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス社)を使用し, 凝固測定機器CP3000・試薬コアグピアPT-N(積水メディカル社)と比較した, 【結果】1.再現性:試料は2濃度の管理血漿を用いた. それぞれの変動係数CV%は, 同時再現性(n=10) 0.01%, 0.01%,日差再現性(n=6) 1.29%, 1.46%であった. 2.相関:エクスプレシアストライドは採血時の全血,CP3000は同検体のクエン酸血漿を用いて測定した. 相関係数r2=0.849, 回帰式y=0.47x+5.52であった. また, INRが±0.2以上の乖離検体が4件観られた.  3.機器の特性:軽量で携帯可能な大きさであり,操作および運搬が容易であった. 検体量は全血6μLで, 91血液凝固小型分析装置エクスプレシアストライドを用いたPT-INRの検証自動血球分類装置DI-60を用いた目視標本の芽球見逃し防止への運用と成果 目視標本の芽球見逃し防止への運用と成果◎水谷 美菜子1)、松澤 憲一郎1)、豊田 将平1)、牧 俊一1)、橋爪 英文1)、長岡 勇吾1)、岡本 直子1)、鈴木 英之1)◎水谷 美菜子1)、松澤 憲一郎1)、豊田 将平1)、牧 俊一1)、橋爪 英文1)、長岡 勇吾1)、岡本 直子1)、鈴木 英之1)さいたま赤十字病院1)さいたま赤十字病院1)◎中村 成実1)、工藤 沙也果1)、橋本 亜希1)、堀口 大介1)、星 孝夫1)、中島 あつ子1)、樋口 敬和2)、春木 宏介1)◎中村 成実1)、工藤 沙也果1)、橋本 亜希1)、堀口 大介1)、星 孝夫1)、中島 あつ子1)、樋口 敬和2)、春木 宏介1)獨協医科大学埼玉医療センター臨床検査部1)、輸血部2)獨協医科大学埼玉医療センター臨床検査部1)、輸血部2)分類後共に94.7%, 特異度は初期分類86.9%, 再分類後99.9%であった. 目視鏡検で陰性, DI-60初期分類で陽性となった標本は103例あった. そのうち102例は再分類を行った結果陰性と判定, 1例は画像判定より芽球が強く疑われたため, 再度目視鏡検を行い1%芽球陽性と判定した. 目視鏡検で陽性, DI-60陰性となった標本は1例あり, 目視鏡検では3%芽球陽性とした.【まとめ】芽球見逃し防止のためにすべての標本を目視鏡検にてダブルチェックを行うことは困難である. 今回の検討でDI-60の芽球検出の再現性が良好であり, ダブルチェックの結果芽球陽性検体を発見できたことより, DI-60を芽球見逃し防止の対策に用いることは有用であると再確認した.遠心もなく, 採取から結果報告まで約1分であった. 【まとめ】 今回の検討では, 再現性はCV5%未満であり, 精密度には問題ないことが確認された. また, 簡便性および迅速性についても, POCTの必要な機能が備わった機器と思わられた. 相関は, 対照機器と比較して低値傾向となり, 乖離した結果も観察された. この結果から, 内部精度管理も確立されていたが, PT-INRの経過観察などとして使用するには, 当機器の特性を十分に把握し, 使用することが望ましいと考えられた. 連絡先:048-965-1111内線3219連絡先(048)852-1111 (内線20348)血液凝固小型分析装置エクスプレシアストライドを用いた自動血球分類装置DI-60を用いたPT-INRの検証血-7(第6会場 10:36~11:13)血-8(第6会場 10:36~11:13)EntryNo. 86EntryNo. 27

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