埼臨技会誌 Vol
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3:12名,区分4:17名となった.翌日以降の血清Creの変動は区分1で73%が上昇,18%が低下,区分2で22%が上昇,67%が低下,区分3で25%が上昇,33%が低下,8%が変化なし,区分4で35%が上昇,53%が低下,6%が変化なしであった.また腎尿路系の臨床診断のついた患者は区分4で最も多く,次いで区分2,区分1の順となった.49名中AKIの診断となった患者は4名で,全て区分4に分類された.【考察】尿中NGALに上昇を認めると,血清Creが正常な場合であっても,73%でその後血清Creが上昇した事が確認できた.一方で18%は血清Creが上昇していなかった.血清Cre値と尿中NGAL値,片方のみでは無く両方測定する事により,精度良く腎疾患の病態を把握する事が可能となる.これは救急外来でのAKI早期発見,早期治療に繋がるものと考える.【結語】救急外来において尿中NGAL測定が腎臓疾患診断の一助となることを再認識した.一 般【はじめに】髄液検査の細胞数算定は,従来から計算盤を用いた目視算定によって検査が行われてきた.細胞の鑑別には熟練を要し,特に夜間休日帯で検査を行う際にルーチン業務で髄液検査を行っていない技師は不安を感じていた.近年,髄液,胸水,腹水,関節液などの体腔液を高精度で測定できる血球分析装置が登場し,当院も多項目自動血球分析装置XN-9000(Sysmex社,以下XN-9000)の,体液モード(BFモード)を使用し,髄液の細胞数,細胞分類の測定を開始した.当院の運用方法と実際の分析状況を紹介する.【運用方法】従来法(目視算定)との相関データは良好であったが腫瘍細胞,病原微生物の出現や細胞崩壊による機器の誤判定を見逃さないために,XN-9000での測定を行い,以下の場合に目視算定での確認を行うこととした.・WBC Abn Scattergramのエラーメッセージを認める・HF-BFが10個/μL以上出現・Debrisが多数出現【目的】尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカイン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin:NGAL)検査は2017年2月より急性腎障害(acute kidney injury:AKI)の補助診断法として保険診療内での測定が可能となった.当院では2018年3月より院内測定開始となったので,迅速な検査や診断の要求される当院救急外来の現場でのNGAL測定の有用性を調査した.【方法】当院の救急外来受診者の中で,採血検査・採尿検査を行った者を対象に,受診時の尿中NGALを測定し,血清クレアチニン(Cre)との比較を行った.尿中NGAL,血清Creを各々の基準値よりも高値か否かで4通りの組み合わせに区分し,翌日以降の血清Creの変動を追った.区分1:NGAL高値Cre正常,区分2:NGAL正常Cre高値,区分3:NGAL正常Cre正常,区分4:NGAL高値Cre高値使用機器:ARCHITECT i2000SR, HITACHI7180使用試薬:U-NGAL・アボット, シカリキッド-S CRE期間・対象者数:1ヶ月間・計49名【結果】計49名の内訳は,区分1:11名,区分2:9名,区分・総細胞数が30個/μL以上出現【まとめ】XN-9000による髄液検体測定によりルーチンはもとより夜間休日帯のルーチン業務を行っていない技師の負担は軽減された.しかし,XN-9000による測定では腫瘍細胞,クリプトコッカスなどの病原微生物が出現していた場合に見逃してしまう可能性がある.これらを見逃さないようにするため,鏡検条件を設け目視算定を追加で行う必要がある.2018年6月より当院の設定した運用方法でルーチン検体を処理しているが,細胞数増加が認められる検体(30個/μL以上)においても,エラーメッセージが認められない検体であれば目視算定とのデータの解離は確認されなかった.また,クリプトコッカスが出現していた検体,一部ドレナージ検体ではエラーメッセージが認められ,目視算定により見落としを防ぐことが出来た.今後,症例数を増やし運用設定の妥当性が確認出来れば細胞数による目視算定の条件は無くしていきたいと考えている.連絡先 048-852-1111(内線:20347)95連絡先:048-626-0011(内線1161)◎銅山 雄太1)、増田 夏弥1)、小水 恵1)、伊波 嵩之1)、曽木 広信1)、根岸 永和1)、江原 進1)、阿保 一茂1)◎銅山 雄太1)、増田 夏弥1)、小水 恵1)、伊波 嵩之1)、曽木 広信1)、根岸 永和1)、江原 進1)、阿保 一茂1)さいたま赤十字病院1)さいたま赤十字病院1)◎菅原 太冶1)◎菅原 太冶1)さいたま市民医療センター1)さいたま市民医療センター1)多項目自動血球分析装置XN-9000を用いた髄液検体測定の運用当院における救急外来患者での尿中NGAL測定の有用性当院における救急外来患者での尿中NGAL測定の有用性多項目自動血球分析装置XN-9000を用いた髄液検体測定の運用般-6(第7会場 9:58~10:35)般-7(第7会場 10:36~11:12)EntryNo. 62EntryNo. 87

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