生涯教育レポート 5

        



     日 時 : 平成 291122   1900分〜2030

     会 場 : 大宮ソニックシティ  604号室         点数:専門教科−20点



     主 題 :「菌力」アップトレーニング!!


    講 師:大楠 清文 (東京医科大学 微生物学分野 教授)



    参加人数 :86名


     出席した研究班班員 :渡辺 典之、永野 栄子、金田 光稔、砂押 克彦、小西 光政、
                  酒井 利育、森 圭介、毛利 光希、小棚 雅寛、牧 俊一
    

    《研修内容の概要・感想など》

今回は「菌力アップトレーニング!!」というテーマで大楠先生にご講演いただいた。
菌トレの他に最新トピックスとして、微生物検査の自動化の潮流や血液培養検査、
CLSI
の最新情報、今年話題になった感染症についてもお話していただいた。微生物検査の自
動化はドイツの病院での導入例が紹介された。検体塗布、培養、経過や結果までの全工
程にわたり自動化され、培養後の培地はパソコンからデジタル画像を見ながら菌名や菌
量を入力することにより、微生物検査室にいなくても仕事が出来るとのことであった。
血液培養検査装置では、まだすべての菌名同定ではないが、血液培養陽性になった培養
液を用いて約
3時間で菌名同定が可能であった。なかでも興味深かったのは、ASM学会報
告で、培養ボトルに設置された臭気センサーで、臭いをろ紙に色分けして、培養と菌種
同定を同時に実施できるシステムであった。また、イヌが嗅覚で菌を嗅ぎ分けることが
できるとの報告では、驚くべきことに感度、特異度が
90%以上とのことであった。

大楠先生はCLSIの国際委員であり、6月に行われた会議の報告では、カルバペネム耐性
腸内細菌科細菌(
CRE)の確認検査としてimCIMが追加され、mCIMと併せてimCIMを行う
ことで、
metallo-β-lactamasesが同時検出できることなどがあった。また、imCIMでの
EDTA
濃度の変更(0.1mM5mM について解説していただいた。

今年話題となった感染症として、感染者数増加の梅毒、ハチミツによる乳児ボツリヌス症、
食中毒のウエルシュ菌、アニサキス、
SFTS・日本紅斑熱について事例を基に説明していた
だいた。菌トレでは、微生物検査において“臨床情報”、“染色像”、“集落&五感”
から起炎菌同定に至るための菌力アップトレーニング「菌トレ」と称して日常的なものか
ら稀な症例について
QA方式で学んだ。質量分析でも鑑別できない菌種も従来からの生化
学的性状で同定することができるため、基本的な同定検査の手技を身に付けることはとて
も重要であると感じた。

大楠先生の講演は各種学会・研修会等で大変好評であり 、今回も多くの方に参加いただき、
大盛況であった。

平成291213

                                  文責: 永野栄子 


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