生 涯 教 育 研 修 活 動 報 告 書
微生物検査研究班
1 実施日時:2022年6月10日18時30分 ~ 19時30分
2 会 場 : Web研修会 点数: 専門教科 20点
3 主 題 :2022年CLSIドキュメントの変更点について
4 講 師 :原 みゆき(ベックマン・コールター株式会社)
5 協 賛 : なし
6 参加人数: 会員 48 名 賛助会員 6 名 非会員 0 名
7 出席した研究班班員:小棚雅寛、酒井利育、今井芙美、岸井こずゑ、伊波嵩之、
佐々木真一、渡辺駿介
8 研修内容の概要・感想など
今年度2回目の研修会は、ベックマン・コールター株式会社の原氏を講師にお招きし、2022年CLSIドキュメントの変更点について開催した。
CLSI変更点は、全体的なもの・ブレイクポイント(BP)に関するもの・その他の3つに分けて解説いただいた。全体的なものとしては、β-ラクタマーゼ阻害剤についてのコメントが追加された。BPの変更点は、β-ラクタム薬の単剤・阻害剤合成剤の感受性に対するコメント、EnterobacteralesにおけるPIPCのディスク拡散法のブレイクポイント削除およびMICブレイクポイントの変更、TAZ/PIPCおよびTAZ/CTLZのブレイクポイント変更、H. influenzaeおよびH. parainfluenzaeのCVA/AMPCのブレイクポイントの変更について報告があった。またセフィデロコル申請についても解説があった。セファロスポリン抗菌薬のシデロフォアセファロスポリン系に属し、鉄とキレート作用により結合し細菌体内に取り込まれペリプラズムにて遊離しペニシリン結合タンパクと結合することで細胞壁合成を阻害する薬剤である。β-ラクタマーゼ産生菌やCRE、S. maltophiliaなどにも高い感受性を示していた。薬剤感受性検査ではAcinetobacter sp.におけるディスク法の注意点やS. maltophiliaの耐性と判定された際の注意点も解説いただいた。その他としては、昨年から引き続き血液培養ボトルからのディスク法による薬剤感受性検査について新たにP. aeruginosaの追加、判定時間の短縮について報告があった。P. aeruginosaで対象となるディスクはCAZ、MEPM、TOB、CPFXの4薬剤であった。判定時間については8-10時間で判定できるようになりEnterobacteralesではCAZ、AZT、CTRX、TOBの4薬剤、P. aeruginosaではCPFX、TOBの2薬剤が判定可能である。迅速な感受性の報告は非常に重要だがカルバペネマーゼや誘導性AmpC産生菌では実施できない点や実際の症例に基づく注意点などの解説があった。質量分析などの迅速な同定が必要であったり陽性フラグ後8時間以内など条件があるが実施可能な施設は是非検討していただきたい。
現在CLSIに関する資料配布ができなくなってしまい情報収集が難しくなっていると感じる方も少なくないと思われる。今回の研修会を日々のルーチン検査に役立てていただければ幸いである。
提出日 2022年 6月 14日
文責:伊波嵩之