第24回関東甲信地区微生物検査研修会レポート

平成23101日(土)、2日(日)の二日間、埼玉県の熊谷にあるホテルヘリテイジにて第24回関東甲信地区微生物検査研修会が開催された。
 今回のテーマは「チーム医療」という事で、講師に医師、看護師、薬剤師、検査技師といった臨床を支えるそれぞれの職種の先生方を迎えてご講演いただいた。

 一日目は、中島あつ子先生(獨協医科大学越谷病院)からNST活動の実際について、また敗血症のマーカーであるプロカルシトニンに対するCRPや白血球数との比較検討についてご講演いただいた。柴田智恵子先生(三郷中央総合病院)からは、創傷・褥瘡ケアの実際について、褥瘡の発生部位や形成されるメカニズム、また褥瘡委員会での活動内容などをご講演いただいた。佐藤勉先生(日本歯科大学東京短期大学)からは口腔の機能と保健という事で、口腔領域からの感染症についてご講演いただいた。特に口腔領域の二大疾患とされる齲歯(虫歯)と歯周病について原因となる細菌について学び、歯周病を防ぎ、高齢になっても自分の歯を残していく事がQOL向上につながるとわかった。埼玉医科大学病院からは医師の山口敏行先生、看護部の畠中完先生、薬剤部の亀岡教雄先生、検査部の橋北義一先生から、それぞれの立場からのICT活動についてご講演いただいた。山口先生は原因菌や耐性菌に対する抗生剤の種類や使い方を、畠中先生はICTラウンドで実際におきた問題点や改善点、またリンクナースの活動内容について、亀岡先生は薬剤師として抗菌薬使用状況などICT活動への貢献内容について、橋北先生からはキットを用いた迅速検査についてや、VRE MDRPといった耐性菌検出の検査法についてご講演いただいた。

 ホテル内で行なわれた意見交換会では、各県ごとに挨拶が行なわれてベテラン技師の方々から若い技師の方々までさまざまな顔ぶれがみられた。その後のミッドナイトセミナーでも多数の参加があり、施設や県を越えての交流がみられた。

 二日目の講義では、長沢光章先生(東北大学病院)から災害時における感染症対策についてご講演いただいた。東日本大震災での震災直後からの街の様子や、東北大学での状況について当時の写真と共にご講演いただき、電気、水道、ガスといったライフラインがいかに重要であるか、また機器の使用できなくなった被災地でできる検査は何なのかなど、報道等ではわからなかった現場の様子を知る事ができた。また被災地での感染症として、避難所でのインフルエンザ感染や津波によるレジオネラ感染、またノロウイルスなどの感染対策が重要である事がわかった。柳沢英二先生(ミロクメディカルラボラトリー)からは医療経済と微生物検査について、医療費の動向や包括的診療報酬により検査室がどのような状況に置かれているのか、また微生物検査における保険点数の推移などご講演いただいた。加來浩器先生(防衛医科大学校)からはアウトブレイクと疫学解析についてご講演いただいた。アウトブレイクが起きた時、いつ・どこで・どのようにして起きたのかを把握し、感染症を推理して実地調査をして原因を探ることで再発を防止する事が重要であると学んだ。

 私は今回の研修会で初めて実務委員として参加し、他の実務委員の方々を見て研修会が入念な打ち合わせや準備のもとに行なわれているのだと実感した。私自身大変勉強になった研修会だった。

                                            (文責:佐藤香里)


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