第25回関東甲信地区微生物検査研修会レポート

平成24929日、30日に開催された関甲信支部微生物検査研修会/関東甲信地区微生物検査研修会に参加させて頂いた。群馬県の薮塚温泉ホテルふせじまにて、群馬県臨床検査技師会及び微生物検査研究班の主催により行われた。

 今年度の研修会のテーマは「新たな感染症診断へのアプローチ」という事で、最新の医療機械を用いたものから、古くから行われているグラム染色、PK/PD理論による抗菌薬選択まで幅広く拝聴する事が出来た。1日目は、菊池 賢先生(順天堂大学医学部感染制御科学)より、MALDI-TOFMSを用いた微生物同定検査、三上 優先生(東京大学医学部付属病院)より、結核菌群迅速検査LAMP法、猪狩英俊先生(国立病院機構千葉東病院呼吸器センター)より、クォンティフェロンTBゴールドに関してご講演頂いた。全てのご講演の内容に関し、今まで以上により知識を深められた。初日で、沢山の知識を得、学ぶことが出来た。

MALDI-TOFMSによる微生物同定から、コストパフォーマンス、正確性、薬剤耐性機構の調査などの将来性まで理解する事が出来た。また、吉田欣史先生(シスメックス・ビオメリュー株式会社)、小塚 薫先生(ブルカー・ダルトニクス株式会社)からMALDI-TOFMSを用いた各社の機器説明が行われた。そして、結核菌群迅速検査LAMP法では特徴、迅速性、検査での位置付け、結核病棟があるなしでの病院側の対応など、LAMP法の迅速検査の重要性がわかった。病院側にも、患者側にも大きなメリットのあるとても合理的且つ実用的な検査法であった。QFTゴールドは、潜在性結核感染と活動性結核感染の補助診断として用いられている。今回は主に潜在性結核感染に関する指針、QFT-3Gを用いての潜在性結核感染の化学予防の実施についてと、結核感染におけるこれからの課題をご講演頂いた。

先生方のご講演を拝聴した後の夕食及び意見交換会では、各都県の技師の方々との交流、微生物検査技師としての意見の交換がなされた。その後のナイトセミナーでも、意見交換会の延長戦といった感じで多くの方が参加された。普段から他の病院や検査施設の方々との交流を持つことが無かった為、とても良い経験が出来た。

2日目は前日のナイトセミナーの余韻に浸りながらも、大変勉強になるご講演を拝聴する事が出来た。中村文子先生(順天堂大学医学部付属順天堂医院)からは、グラム染色の目的及びその重要性に関してご講演された。自施設でもグラム染色は日常的に行っているが、改めて塗抹検査の重要性を確認できた。塗抹検査の診療報酬に見合った検査が行えているのだろうか、迅速診断に活用できているのかと自身の検査の質を考えさせられる内容であった。藤田浩二先生(亀田総合病院)からはグラム染色とPK/PD理論による抗菌薬選択をご講演された。私は検査施設勤務の為ドクターとの連携は取りにくい環境であるが、病院での検査部とドクターとの間で正しい抗菌薬の選択というのは大変重要なことであることがわかった。時間依存性、濃度依存性薬剤の意味をしっかりと理解し、薬剤の特性と細菌への効果の相関を把握した上での薬剤投与が重要であるとういう事を学んだ。

最後に、今回私は、初めて微生物検査研修会に参加させて頂き、様々な事を学んだ。とても内容の濃い充実した2日間を過ごせた。意見交換会でも、接する機会がおそらく無いであろう都県の方々とも交流を持て、自身の視野も拡がった。また、埼玉県の研究班の方々をはじめ技師の方々ともここまで接する機会が無かった為、色々なお話を聞くことができ、大変勉強になった。ここで得られた知識で満足する事なく、自身の知識向上を図り、日々の検査に励んでいきたいと思う。

レポーター:星野 渉(上尾中央臨床検査研究所)


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