生涯教育レポート 4

                         


日 時 : 平成23年 722日(金)   1900分 〜 2030
会 場 : 大宮ソニック601号室
点 数 : 専門教科−20
主 題 : 多剤耐性菌による院内感染対策の基礎と対策
講 師 : 藤本 修平( 東海大学医学部基礎医学系生態防御学教授 )
参加人数: 67
出席した研究班班員: 荻野毅史、古畑健司、金田光稔、渡辺典之、永野栄子、小西光政、
               砂押克彦、
牧 俊一、佐藤香里

《研修内容の概要・感想など》
 今回は、「多剤耐性菌による院内感染症の基礎と対策」と題し、医療機関のみならず社会的にも問題となっている医療関連感染対策についてご講演いただきました。
 感染症は社会、文化、習慣の変化に伴って活発に変容する疾患群であり、現代の医療の高度化により「日和見感染症」は新興感染症として問題となっている。易感染者は弱毒菌によっても感染症を発症する。日和見感染症の原因菌は、最も身近である常在菌や環境菌にほぼ限定されることから、病院環境において日和見感染症は、抗菌薬の選択圧により耐性菌の選択が起こりやすい。一方、医療福祉経済の困窮により、新規抗菌薬の開発が抑制され、有効な抗菌薬が枯渇している状況下では、感染症対策では科学的データに基づいた院内感染の抑止や耐性菌拡散の抑止による抗菌薬の適正使用が求められている。本邦においては厚生労働省院内感染サーベイランス(JANIS)が運用されている。インターネットによるデータの提出により、JANISより還元情報として全国値と比較した各種耐性菌等の検出率が図表により還元される。また、2次元キャリアマップ(2DCM)では、感受性パターンから院内の拡散を視覚的に予測できるツールの使用が可能となっている。医療機関にとっては問題となる耐性菌を検出し、感染対策により拡散を防ぐことが求められる。JANISでは全国値との比較がされることから、その情報の価値は大きく、有効な感染対策の動機付けとなる。「日和見感染症」の生い立ちから人体の生態防御能をはじめ、耐性菌の生まれ方やサーベイランスについて分かり今後の感染対策に向けて大変勉強になりました。
                                                      文責: 荻野毅史


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