生涯教育レポート 2

         

微生物検査研究班・公衆衛生検査研究班 合同研修

実施日時: 平成24年6月2日(土)  13時00分 〜 16時00分
会場: 埼玉県衛生研究所       点数: 専門教科- 20点
主題: 感染症に関する最近の話題と菌株供覧
     1.腸管系感染症について
     2.呼吸器系感染症について
     3.寄生虫症とリケッチア感染症について
     4.病原体等の輸送について
     5.菌株供覧
講師: 倉園貴至、嶋田直美、山本徳栄、青木敦子( 埼玉県衛生研究所 )
    児玉加奈子 ((株)ビー・エム・エル総合研究所)
共催: 埼玉県衛生研究所
参加人数: 43名
出席した研究班班員:《微生物検査研究班》
                荻野毅史、渡辺典之、小西光政、砂押克彦、佐藤香里
             《公衆衛生検査研究班》
                阿保一茂、菊地孝司、篠塚洋明、榊原外江、穴原賢治、富井貴之、武藤由里子

《研修内容の概要・感想など》
 今年度は、従来の感染症に関する最近の話題に「病原体等の搬送について」を加えた4つのトピックスと菌株供覧の実習を行った。 
 1)腸管感染症では倉園氏より、2011年の腸管系三類感染症の検出状況について説明があった。さらに昨年の富山県を中心とするSTEC O111集団感染事例ドイツを中心とする欧州のO104事例について、最終的な状況について解説された。これらは欧州での出来事ではなく、日本でも起こりえることを示唆された。
 2)呼吸器系感染症分野では嶋田氏が、結核について、患者数の推移やLAMP法を用いた結核菌検査、PCRによる結核とBCGの鑑別法、レジオネラでは、発生動向調査の検査状況や環境水、喀痰からの検査法、新菌種の話題などを解説された。
 3)寄生虫・リケッチア症分野では山本氏が、新しい食中毒の病原体のクドア(Kudoa septempunctata)やサルコシスチス(Sarcocystis fayeri)について、生活環、寄生例、食中毒の発生状況について解説された。
 4)病原体等の輸送については、昨年の病原体送付における事故を契機に、ゆうパックでの病原体輸送方法が変更になることから、青木担当部長がこれら病原体の輸送方法について、具体的に、かつ詳細に説明された。
 5)菌株供覧は、場所を移動し実習室で行った。今回は、昨年までの古畑技師に替わり、児玉技師が指導をしてくださった。臨床での現場で検出される細菌について、培地でのコロニー形状、確認培地での生化学的性状について、熱心に解説していただいた。衛生研究所からは、コレラ、赤痢、チフス、腸管出血性大腸菌、レジオネラ、マイコプラズマ、非結核性抗酸菌などが供覧に提供された。とくにマイコプラズマでは、実体顕微鏡を用いて、特徴的なコロニー形状の観察を行っていた。寄生虫、原虫類標本の顕微鏡での観察実習も行われ、1時間30分の実習時間が足りないほどであった。
 この研修会は、通常観察できない病原体を目にすることの出来る貴重な機会であり、参加者アンケートでも、今後とも継続開催を希望する意見が圧倒的であり、今回は昨年を超える参加者数であった。

平成24年6月12日
文責:砂押克彦

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